もーり…福岡県出身、兵庫県在住。好きなアーティストはSummercamp,Radiohead,The xx
収録日:2020年5月31日
――初めて行ったライブは何でしたか?
「たまかLINDBERGのどちらかですね。分かりますか?(笑)」
――分かります分かります(笑)。それは親御さんと一緒に行ったとかですか?
「いや、友達と。小5か小6くらいの時だったんですけど、ちょうど音楽に目覚め始めた頃で。小学生だけでライブに行くって今じゃ考えられないですよね(笑)。確か福岡サンパレスっていうホールだった気がします」
――どちらのバンドだったにせよ、どんな印象だったか覚えてたりします?
「ああ、ほんまに存在しているんやなって。僕、福岡でも割と田舎の方やったんで、TVの向こう側の人ってものすごい遠い人のイメージだったから。ああ、本当に実在しているんだなって。」
――そのあと、小中高生くらいの頃はちょくちょくライブに行けてたんですか?
「ですね。たまは解散しちゃいましたけど、LINDBERGは割と行ってました」
――ライブハウスでのライブに行くようになったのはいつからですか?
「高校生の時にSOPHIAってバンドが活動し始めて、まだインディーズでも音源を出す前でした。当時、僕はヴィジュアル系も聴いていてヴィジュアル系専門の雑誌とか読んでいたんですけど、その雑誌の広告でSOPHIAが無料ライブツアーを全国でやるっていうのを見かけて。その頃のヴィジュアル系ってもうみんな真っ黒い服に化粧バリバリだったのに、すごい爽やかなルックスで広告がバーンと出てて。良い意味で浮いていて興味を持ったので1回行ってみようかなって思って行きました。今はもう移転しちゃったんですけどDRUM Be-1ってライブハウスが、当時はその名の通り地下1階にあって、タバコの匂いのするイメージそのままのライブハウス。それがきっかけでライブハウスにも行くようになりましたね」
――今はライブのお写真を撮られたりもしていますよね? それはどういう経緯だったんですか?
「フジロックのライブレポートとかを手掛けている媒体がカメラマンを募集していたんです。ダメ元で応募してみたら受かっちゃいました。それがきっかけでいくつかの関西のフェスやメジャーでやってるアーティストのライブなども撮影させてもらえることになりました」
――フジロックの前にはライブ写真を撮った経験っていうのはあったんですか?
「それが無くて、フジロックが決まってから1度知り合いのバンドのライブ写真を撮らせてもらいましたね。失礼な話ですけど練習で」
――写真自体は以前からやられてたんですか?
「いやー、確かその時でカメラ歴2年くらいでしたね。自分でカメラを持ったきっかけっていうのが、僕は元々アメリカのSummercampというバンドがすごい好きだったんですけど、1997年にアルバム1枚出してフジロックにも出演していたんですけど解散しちゃったんです。1回もライブを観れないまま解散になってしまって、“死ぬまでに1回くらい観たかったな”って10何年も思い続けていたんです。ある日Facebookを始めて真っ先に検索したのが、友達でもなくそのバンドメンバーでして(笑)。検索してみたら見つけたのでダメ元で友達申請をしたらまさかの友達を承認してくれたんです。それから1年くらいメンバーの投稿にいいねを押し続ける日々を過ごしていたら、ある時そのタイムラインに再結成ライブを1日だけするというのが流れてきたんですよ。あまりの衝撃に理解が追いつかなくってメンバーに”本当に再結成するの? するんだったらアメリカまで観に行く”ってDMを送ったら”本当だよ。日本から来るの?”って返信が来たから”行く!”って返信したんです、頑張って英語で。その時点でライブまで6週間しかなかったので、慌ててパスポートを申請しました(笑)。
日本はお客さんがライブ撮影するのって駄目ですけど、アメリカはけっこう録画OKだったりするんで、レンタル屋さんで良い音で録れるデジカメを借りてアメリカに持って行ったんです。そしてライブ当日に会場に早く着いたらリハをやっている最中で、窓が開いてたんで覗き見してたんですよ。そしたらライブハウスのスタッフに見つかりまして。”やばい。怒られる”と思ったら“中に入れてやるよ”って言ってくれて(笑)。メンバーにDM送っていたんで日本人がライブを観に来るのを知っていて、会場の中に入ったらメンバーが僕に気付いてリハを止めて話しかけてくれたんですよ。その時に“撮影していいか?”って聞いたら、“もちろん!あそこの階段に三脚置いてるから使いなよ。良かったら撮影データをくれない? こっちのスタッフが録ったのもシェアするから”って話になりました。それで無事に撮影できることになったものの、やっぱり良いカメラで撮りたかったなと思ったので帰国してからカメラを買ったっていうのがきっかけですね。
そのアメリカでのライブは2組出てたんですけどSummercampが先攻で、彼らの出番が終わったあとにメンバーと一緒にバーカウンターで飲んでたんですよ、後攻のバンドを観ながら。そしたら“今ステージでギター弾いてるのはFoo Fightersのクリスだよ”って教えてくれて、彼らの出番が終わった後に彼を紹介してくれたんです。Foo Fightersはそのちょうど1か月前にフジロックで大トリを務めていて。“君は日本から来たんだったらフジロックに来てくれた?”って言われたから、“いや、フジロックはまだ行ったことがない”って答えたら、“日本人だったらフジロック行かなきゃダメだよ”みたいなことを言われて。それで次の年から観に行くようになったんですよ」
――で、その次の年にはもうフジロックで撮影してたっていう時間軸ですか?
「そうなんですよ。アメリカきっかけで行くようになったフジロックに、アメリカきっかけで始めたカメラで撮影に行くっていうことになりました」
――凄まじすぎる(笑)。
「あと、その時のSummercampのドラムがオリジナルメンバーじゃなくてサポートメンバーだったんです。そのドラマーの人ともFacebookを交換したんですが、半年後くらいにFacebookに“日本での思い出”と書かれたYouTubeがシェアされたので観てみたら、なんとその人が氷室京介のバックバンドで東京ドームで叩いてました(笑)。実はめちゃめちゃすごいドラマーだったのかよって(笑)。アメリカまでライブを観に行ったのはこの1回だけですけど、人生の色んな転機になりましたね」■