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キリマンジャロ登頂記タイトル.png

代々木さん…宮城県出身、東京都在住。

収録日:2020年7月9日

 

《キリマンジャロ》

標高5,895m。タンザニア北東部に位置する、アフリカ大陸最高峰。山脈に属さない独立峰としては世界で最も高い。

 

◆出国まで~2018年秋~◆
 

――ことの発端となった、同行したお友達についてのお話から伺いたいんですけど。


「その女の子とは大学の同期だったんだけど、みんなで一緒に飲んだ時に“結婚します、新婚旅行で世界を一周します”って話をし出して。旦那さんの方ともそれ以前に紹介してもらって何回か飲んだりしてたから、“ああ、イイネ!”って気軽に言ったの。それが2018年の秋なんだけど、僕は夏にちょうど富士山を登ったタイミングで」


――登山はそれ以前からしてたんですか?


「全然してないです」


――ええぇ?(笑)


「登ったことあるの富士山くらい(笑)。で、その飲みの最中に“こないだ富士山登ったんだよね”って言ったら、彼女が“私たち、アフリカに行ったらキリマンジャロに登るからおいでよ”って誘ってきて」


――(笑)。


「もともとその場にいたみんなで、世界一周の最中に“じゃあ俺は中国で合流するよ”とか“私はアメリカで…”とか、そういう話題で盛り上がってた時だったんだよね。だから“富士山登ったんならキリマンジャロいけるよね”って(笑)。その時は半信半疑だったんだけど、後々ちゃんと調べてみたらキリマンジャロはガチの装備が無くても登れる中では世界最高峰みたいで。彼らはもともと日本の名山とかへ山登りに頻繁に行ってるカップルでもあったから、その人たちがいけるよって言うんだから鵜呑みにしちゃったのね。それで“前向きに検討します”と(笑)。でも、昔からアフリカに対して憧れみたいなものもあったんだよね」


――アフリカでもエジプトとかサバンナとか色々あるじゃないですか。どういうイメージに憧れを抱いてました?


「いや、あれですよ、『水曜どうでしょう』ですよ」


――(笑)。


「『水曜どうでしょう 初めてのアフリカ』で観た、面白おかしく撮影されたサバンナの野生動物。あと、なんと言っても『INNER KINGDOM』(FoZZtone)ですよ」


――取ってつけたような(笑)。


「いやいや(笑)。だからね、もともと興味はあったんですよ? それにヨーロッパとか近場のアジアとかは1人でも行けるなって思ってたけど、アフリカは1人じゃ絶対に行かないって確信があったの。だから、誰かに便乗できる今は絶好の機会だなと思って」


――行くって決めて、出国までに苦労したことってありました?


「ぜんぜん無いよ(笑)」


――無いんかい(笑)。


「強いて言えば、キリマンジャロ自体はタンザニアなんだけど、飛行機のルート的に最初はケニアに入国しなきゃいけなくて。でもケニアに入るには黄熱病の予防接種をしなきゃいけない、しかも抗体ができるまで1か月はかかるのね。平日に病院に行って予防接種を受けるっていうのがなかなかハードル高くて、ギリギリちょうど1か月前に予防接種に行った時にはまあまあ焦ったけど、期待されているような大変さでは全く無い(笑)」


――いや、そういうので大丈夫(笑)。装備は日本から担いでいったの?


「富士山の時に用意したのも持って行った。だけどキリマンジャロって、周辺は暑いんだけど山頂だけ極寒なのね。だからガチのアウターは現地で買った、そういうレンタルをやってるお店もあるので。あとは謎にサッカー日本代表のユニフォームをいっぱい持って行った」


――それはどういう心理なんです?(笑)


「“日本人だよ”、みたいな?(笑) 一応、通気性の良いスポーツウェアだし」

 

◆タンザニア入国、ンゴロンゴロ国定公園~2018年12月24-26日~◆


――12月23日に成田を発って、翌24日に現地に着いてるんですね。事前に頂いた資料によると、アルーシャという場所に泊まったとなっていますが。


「アルーシャはタンザニアの大きめの都市で、キリマンジャロ空港からも近くて宿泊する登山者も多いみたい。砂埃が酷くて、もう行きたくないなって……」


――(苦笑)。


「到着した日は友達が空港まで迎えに来てくれて、そのままアルーシャの宿に泊まり。それで翌25日の早朝からサファリに出発したのね。1泊2日で、念願のンゴロンゴロ(保全地域/世界遺産)に行きました」


――念願だったんですね。


「まぁアフリカに来たんだしね、行きたいよね。動物さんに会いたいしね」


――動物さん、会えました?


「すごかったよ、やっぱり。だだっ広い土地と、溢れんばかりの動物さんたちと、圧巻なんだけど。なんだけど1泊2日もしてるとまあまあ飽きる(笑)」


――早くない!?(笑)


「行けば分かるよ(笑)。ンゴロンゴロはね、草食動物を見るならすごく良いんですよ、ゾウさんキリンさんとか。ただ、肉食のネコ科の子たちがハントする姿を見たいってなると、ンゴロンゴロではよっぽど運が良くないと見られない。もうちょっと奥にあるセレンゲティ国立公園だとよく見られるんだけど、そっちまでは日程の関係で行けなかったの。ンゴロンゴロはゾウさんキリンさんがのんびり……」


――景色みたいな感じなの?(笑)


「最初はやっぱり感動しますよ? “うわー、いっぱいいる! でっけぇ! 近い近い!!”みたいな(笑)。ヌーもいっぱい、ゴマのようにいて……」


――言い方(笑)。


「でもね、飽きちゃうんですよ(笑)」

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◆登山準備と食事について~12月27日~◆
 

――食事はどんな感じだったの?


「料理はねぇ、サファリのツアーでは一応シェフがいたんだけど、生身のパンと卵とバナナと果物……」


――バナナと果物?(笑)


「あとコンソメスープみたいなのも出てきた。あんまり食のことは記憶に無い、口に合わなかった……」


――食について感動したことは無いってことでよろしい?(笑)


「ンゴロンゴロから戻ってきて泊まったモシの街で食べたカレーは、めちゃくちゃ美味しかった」


――カレー(笑)。


「アフリカ要素一切ない、チキンマッサマンカレー。友達も“これは日本で食べるそこらのカレーなんかよりずっと美味しい”って言ったくらい美味しかった。だからモシの街に滞在中は、そのお店でばっかり食ってた」


――そのモシの街では、登山の準備をしたとありますが。


「さっきも言った通り、俺はアウターを買ったり。友達2人は本当にバックパッカースタイルで来てたから、装備はほとんど現地で揃えてた。あと、俺がアフリカに着く前に彼らは先に登山の申し込みをしてくれていて。というのも、素人だけじゃ登れない仕組みになっているから。同行したのがガイドとポーターと、あとコック」


――コック?


「雇わなきゃいけないんですよ、案内人を」


――案内人は分かるけど、コック?(笑)


「要るんじゃないですかね、そういうパッケージになってるんでしょうけど(笑)。そのパックは登山客4人まで申し込めて、やっぱり3人より4人の方が割安になるんですよ。だから友達が宿で日本人バックパッカー相手に、一緒にキリマンジャロに登る人はいないかと募って、そこで手を挙げたのがシンタロウさん。福岡在住の40代くらいの方で、介護職をしながら一定程度金が貯まるとバックパックの旅に出るっていうのを、若いうちからずっとやってたって人」


――けっこう熟練のバックパッカー。


「その人のクセが鬼強くて」


――(苦笑)。


「だからシンタロウさんと俺ら3人と、ガイドとかの現地スタッフ含めて総勢10人強で登りましたね」

前編
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